副腎疲労ではコルチゾールというホルモンが低下します。
一般的には、コルチゾールを調べるときは、血液検査を使います。でも、副腎がちゃんと働いているかを詳しく知りたいときには、唾液で調べる方法がよく使われます。
血液の中のコルチゾールには、タンパク質と結合しているものと、していない「自由な」コルチゾールがあります。この「自由なコルチゾール」こそが、体の中で実際に働くものです。
そして、唾液の中に出てくるのは、この「自由なコルチゾール」だけなので、副腎の本当の元気さを正しく知ることができるのです。
・唾液中コルチゾール濃度は、血清中の非結合コルチゾール濃度に比例する
Ann Clin Biochem. 1983 Nov;20 (Pt 6):329-35.
・90-95%の血清中コルチゾールがアルブミンや赤血球細胞膜に結合しており、非結合のコルチゾールのみが生理活性をもつ
Psychosom Med. 1999 Mar-Apr;61(2):214-24.
1日4回測定してください
唾液検査では、コルチゾールの日内変動を見るために、リラックスした休みの日などに、8時、12時、16時、24時に唾液をとってください。
検査結果の例

副腎疲労患者さんの検査結果です。
薄い青のところが基準範囲内です。
朝7〜9時のコルチゾールが低めです。
この時間帯は、本来コルチゾールが一番高くなるはずのタイミングで、目覚めたあとに副腎がしっかり働けているかを表す大事な指標です。
12時のコルチゾールも低下しています。
この時間帯は、仕事や人とのやりとりなどで緊張が高まることもある時間で、副腎がうまく対応できているか(=適応力)を見るのに適しています。
午後4時のコルチゾールも低下しています。
この時間は昼食のあとで、血糖値の調整が必要になるタイミングです。つまり、副腎が血糖コントロールをうまく行えているかを見る目安になります
深夜のコルチゾールは、通常もっとも低くなる時間帯です。
ここでの値は、副腎がどれくらい安定してホルモンを出せているか、つまり「基礎的な力」を見る指標になります。
この方は、コルチゾールのレベルが1日中低いため、副腎疲労の疲弊期と考えられます。副腎疲労には抵抗期と疲弊期がありますが、当院を受診するほとんどの方は疲弊期にさしかかっています。そんな患者さんの多くは唾液中のコルチゾールが低下しています。
「立ちくらみ」「朝が起きられない」「一食でも抜くと辛い」「コーヒーなしでは生きられない」 これらの症状は副腎疲労の疲弊期を表す症状です。
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副腎疲労の抵抗期 まだまだ動ける | 副腎疲労の疲弊期 コルチゾールが枯渇している |
副腎疲労の正確な診断のためには器質的な副腎疾患(副腎の結核や副腎腫瘍など)を除外する必要があります。詳しくはご相談ください。